外販商品の開発によりコロナ禍でも売上前年比120%達成

相談のきっかけ

看板メニューを商品化して店頭販売したい
創業平成6年、創業より続く20種の材料を組み合わせた特製タレの担々麺と、とろける厚切りげんこつ焼豚のげんこつラーメンを柱に、高松店・矢巾店の2店舗を営むラーメン店。ラーメン激戦区の盛岡地域で、担々麺と言ったら一風亭と言われるほど、幅広い年齢層に支持を得ている。
近年の働き方改革の流れの中、従業員の賃上げが必要と判断。人件費が増加する見込みとなり、飲食店舗以外にもプラスアルファの売上が必要と考え、看板メニューである「冷やし担々麵」を商品化できないか検討していた。創業者である相談者は、ラーメンづくりは自信があるが、外販のための商品化となると様々な課題と分からないことが多く進められずいたところ、盛岡信用金庫から当拠点を紹介され合同相談会での相談に至った。

課題整理・分析

新商品開発における方向性と安全性が課題
COはまず、相談者(商品開発の実働となる専務取締役が担当)が希望する看板メニュー「冷やし担々麵」の商品開発実現可能性を分析。許認可の内容、商品温度帯によっての難易度、品質・衛生面、表示等々、現状で自社製造が可能かどうかをヒアリングしたところ、CO、相談者ともに難しいと判断した。
またこの期間中に、当初の賃上げ対応に追加して、新型コロナ対策も加わったため、店頭販売から外販商品にまで商圏を広げた販路開拓も必要となった。
そこで、「OEMによる外販商品開発」「コロナ禍による売上拡大の販路開拓」を課題として設定し、取り組むこととした。

解決策の提案と実施

一風亭の味がご自宅で楽しめる“坦々万能タレ”を開発
近年、通販業界はお店の味がご自宅で楽しめる商品が売れ筋となっていることと、コロナ禍で食品通販市場が10ポイント以上の伸びを示していることから、コンセプトは問題ないと判断。商品の内容としては、取り扱いやすい常温品で日持ちし、OEMとしては進めやすい調味料を提案した。相談者は冷やし坦々麺のタレをレシピ化し、OEM先を数社あたった。幾度困難はあったが、試作試食を繰り返して完成し、まずは店頭販売を開始した。
また、同様に第二弾として、ラーメン店の焼豚の商品化を提案し、看板メニューの「げんこつ焼豚」をOEMにて商品化した。
さらにCOは、ふるさと納税返礼品の出品、販路拡大のための展示会出展の留意点等をアドバイスした。相談者は売上拡大に向けて、ふるさと納税返礼品の出品、展示会出展するなど積極的に取り組んだ。

支援の成果

坦々万能タレ販売開始から1年間で4,000個を販売
当初、店頭販売を予定していた「坦々万能タレ」は、ふるさと納税、展示会からお取引を開始した量販店にて、僅か数か月で4,000個を販売。さらに、第二弾で販売開始した「げんこつ焼豚」も徐々に売上を伸ばしている。コロナ禍という逆風にさらされながらも、売上前年比120%を達成した。今後は、ECサイトや外部連携による営業力強化、展示会出展等にて、販路拡大・売上拡大を目指すこととしている。

◎相談者の声

藤井様が、分かりやすく丁寧に、やれる方法を教えてくださったおかげで、商品開発をする不安が解消され、店舗以外で販売できる商品を完成することができました。社長をはじめ従業員一同、相談してよかったと感謝しております。

◎岩手よろず支援のポイント

相談者にとって、経験のないこと、分からないことを進めるにあたっての不安や迷いを最大限くみ取る必要があり、新たな取り組みを余儀なくされている現状も踏まえ、一つ一つ理解と納得していることの確認を重要視した。飲食店の外販商品化は、こだわりが強く難航することもあるが、やりたいことと、やれることの整理や、進めるにあたっての選択肢を丁寧に説明。経験のない自分でも“やれる”という思いになってもらえるように心がけ、相談者は前向きな姿勢で、積極的に取り組み成果に繋がったと考えられる。

担当コーディネーター藤井 登CO

有限会社一風亭
◎代表者名/代表取締役 中嶋 孝
◎住所/岩手県盛岡市門2-14-11
◎電話番号/019-652-0723
◎HPアドレス/https://ipputei.com/