LINEを活用して地酒のセット販売が好調

相談のきっかけ

コロナ禍で飲食店向けの販売が打撃
先代の食料品卸業から商店街の都市計画に伴い、昭和61年に酒小売店へ業態を変える。地酒の専門店であり、商品の品揃えには定評がある。売り上げの半分は地方発送で、飲食店が主。代表者、妻、妹の少数スタッフで運営している。
コロナ禍以降、売り上げの柱の一つだった飲食店向けの販売が苦戦している。打開策として個人客への販売を今よりも伸ばしたいと考え、ネット販売に思い至った。しかし、本格的なネット販売の経験はないため、ネット進出にあたって詳しい話を聞いてみたいということから、取引差金融機関の紹介でよろず支援拠点への相談に至った。

課題整理・分析

ネットショップ以外の売り上げ拡大方法
最初に酒類ネット販売の一般的な知識について、COから解説を行った。ネットショップの新規立ち上げにおいては、顧客獲得のコストも時間もかかるのが一般的。売り上げの早期回復を考えた場合にはリスクもある。
また、受発注業務についても慣れていない場合は負荷が高い。特に、スタッフが家族だけの少人数運営のため、現在と異なる新しい業務を組み込むには難しいと考えられる。
そこで、「短期間で売り上げに結び付き」、「集客コストが低く」、「オペレーションを変える必要がない」ことを条件に売り上げ拡大の方法を模索することとした。

解決策の提案と実施

LINEを使って既存顧客にアプローチ
以前から、店舗購入者を中心にLINEの会員登録を進めており、既存顧客へのアプローチが可能。また、これまで飲食店向けには、FAXで一斉送信してセットで出すので、出荷も楽とのこと。相談者のセレクトするセットの評判も良かった。以上を踏まえて、これまで飲食店向けに出していたセットを、LINEを使って一般消費者に向けて販売することを提案。「プロの料理人も唸る厳選地酒セット」を「LINE会員だけに販売する」というコンセプトで実施することとした。

支援の成果

LINEからの販売が一つの柱に
過去複数回実施したキャンペーンはいずれも売り上げ好調。コロナ禍で落ちた飲食店向けの売り上げを完全にカバーするところまではまだ至っていないが、今後会員登録数が増えるほどに成果が得られると予想する。

◎相談者の声

販売が苦しいときに、今できることの組み合わせで売り上げが確保できてありがたかったです。それだけでなく、お客様から「次はいつですか?」「毎回楽しみです」という声をいただくようになり、商品のセレクトにも一層力が入っています。アイデアと工夫次第で成果が出せることがわかったので、これからも戦略をたてて伸ばしていきたいと思います。

◎岩手よろず支援のポイント

一般的に小売店のネット活用といえばオンラインショップと考えがちであるが、コストもかかる上に運用の負荷も高い。今回は店舗でLINE会員を集めていたことを生かして、既存のオペレーションを変えずにできる方策に主眼を置いた。店舗受け取りであれば、発送と決済という高コスト・高負荷な部分を省いて運用することができる。なお、今回の支援はZoomまたは電話の完全リモートで行われたため、より慎重なコミュニケーションを心掛けた。

担当コーディネーター笹平 拓CO

株式会社かんざき
◎代表者名/神崎 良一
◎住所/岩手県一関市地主町7-2 ◎電話番号/0191-23-3145
◎HPアドレス/https://sake-kanryo.com/