「診療スタンスの見直し」で外来患者の減少を反転!
赤字続きのクリニックが黒字化!

相談のきっかけ

事業承継後赤字が継続しており、返済原資が滞る状況
兄の急逝から事業を継いだものの、専門分野が異なるクリニックを継いだことで自信を持てない状況にあった。赤字が続いていく中、運転資金に窮するようになっていった。経営改善の方向性にメインバンクである信用金庫も対応に苦慮していたが、まず岩手県よろず支援拠点に相談することを勧められた。月に1度信用金庫で実施していた出張相談会であれば診療の合間に相談ができるため、この相談会に来訪される形で1年3か月前に相談を開始した。

課題整理・分析

返済額の見直しによる資金繰り対応と外来患者の減少に対する処方
財務データの確認から、現在の事業構造では約定の支払いが困難であることは明確であった。これはメインバンクである信用金庫も同様に考えており、保証協会以外に他金融機関もないことから短期的には金融調整が優先されることを確認した。その上で、中長期的な問題点として、漸減する外来患者の減少が目に見える課題であり、その真因としてドクターもしくはスタッフの「診療サービス」そのものが課題であると仮説と立てた。競合の新設などアゲインストの要素はあるものの、当該地域が人口増加エリアにあることから、サービスそのものの改善ポイントと想定。最初の3度のヒアリングにおいて、この仮説の裏付けを探っていくこととなった。

解決策の提案と実施

リスケ対応により経営を安定化させ、腰を落ち着けて外来患者の増加策に着手
ドクターは資金繰りと診療対応で極めて疲弊した状況にあった。信用金庫と相談し運転資金の新規融資を実行。ドクターの精神状態を安定させ、そこから本丸の外来患者数改善に進んだ。仮説として「サービス品質」の問題に着目したが、専門分野に自信がないこと、資金繰りで疲弊したことで「ドクター自身のサービス提供の問題」が外来患者減少に大きく影響していることを確信。専門書統計で「クリニックの評価≒ドクターの診察態度」相関データや支援先の事例などを説明。「待ち時間」や「施設の老朽化」なども大切だが圧倒的に影響するのは「診察そのもの」であることを理解してもらった。ここから「目を見て診察」「傾聴の姿勢」「触診を必ずする」この3点を強化。外来患者数の推移や診療報酬の推移などの分析によりドクター自信を取り戻していった。

支援の成果

外来患者の減少が反転! 赤字続きのクリニックが黒字化!
承継から(形式上は創業から)外来患者は減少を続けており、直近3期間については特に厳しい状況にあった。しかし今回の支援を受け、外来患者数の減少は半年前に下げ止まり、以降は増加に転じている(医療+リハビリ合計で)。収益に関しても黒字化に転じており、資金繰りを心配する必要は少なくなっている。今後の展望として収益改善と連動させた報酬体系の整備などで、慢性的な人材不足に対応していくことを検討している。

◎相談者の声

資金繰りで頭を抱えていたところを、資金調達可能となり腰を落ち着けて改善に取り組めました。医療行為そのものではなく、「目を見て話す」「傾聴」「触診」が患者の満足度を上げることを知り、目からうろこの想いでした。これから借入金の返済速度も上げつつ、本来の専門診療科目で収益をさらに改善していきます。

◎岩手よろず支援のポイント

専門家としてのプライドを尊重しつつ、一方で専門家故の思い込みを「外部データ」や「他社支援事例」などにより「論理的に理解していただく」ことに腐心した。加えて、毎月PDCAを信用金庫と行うことで小さくても改善の度合いをドクターに理解してもらうようにすることに注力した。また財務が苦手なドクターが多い中、簡略化した箱図などで理解できるようにしていき、外来数や人員の影響度を理解してもらった。