補助金活用による生産効率改善。農家の6次産業化支援強化と年間売上130%達成!
相談のきっかけ
リンゴ農家からの加工ニーズが増加するも対応できず機会ロス発生
「自然のものを食卓に」を理念に、個人の方が持ち込んだ食材(山菜・キノコ等)の瓶詰・缶詰受託製造業として創業。その後、冬期閑散期の業務として「リンゴの清涼飲料水」の受託製造を開始し、2019年から原材料に砂糖を使用しない「ゼリー飲料」を製造し農家の6次産業化支援の一役を担っている。
農家が生産した作物や山菜・キノコ等の加工業務(缶詰・瓶詰・ジュース製造・ゼリー製造)を小ロットで受注することで農家(特にリンゴ農家)からの依頼が増加。もともと住宅地に立ち上げた狭小工場であったため、上記4工程を同時作業することができず、繁忙期には多くの機会ロスが発生する状況であった。農家のニーズに応えるために加工場の移転(拡張)を検討し資金調達の相談の為によろず支援拠点に来訪された。
課題整理・分析
工場移転には多額な投資が必要となり費用対効果が見込めない
工場移転には数千万円の投資が見込まれていた。
まず取り組んだことは現状分析である。SWOT分析を行い現在の受注状況や売上推移と農産物の加工ニーズ及び市場調査をした結果、投資回収期間がかなり長期化する予測となった。
年々増加する農家からの受注依頼に対応しきれず機会ロスが発生していることは事実であり現状維持というわけにはいかない状況であった。しかし、工場移転となると6次化支援は強化出るものの自社の経営基盤に影響が出る可能性が高く相談者の方向性をそのまま尊重するわけにはいかない状況となっている。
そこで、2段階のビジョンを描いた。第一段階は現工場での作業効率の改善を課題に設定し生産効率アップに向け取組を行うこととし、第一段階で基盤強化したうえで第二段階では工場移転を検討することとした。
解決策の提案と実施
補助金活用による生産効率改善のための設備導入
狭小工場ではあるが、作業工程を確認したところ数台の機械設備の導入により、これまでは別々に作業を行っていた「ジュース製造」と「ゼリー製造」を同時稼働させることが可能であることが分かった。ジュースとゼリー製造を同時に行うことができれば現時点での機会ロスの解消も見込める状況であることも分かったことから、現工場での生産効率改善に取組む事とした。機械設備導入には費用負担を抑えるために「ものづくり補助金」の活用を提案。相談者は補助金等の知識は無かったものの計画書のノウハウを提供し数回のブラッシュアップを行ったことで、相談者自らが計画書を作り上げることができた。
支援の成果
ものづくり補助金採択!繁忙期の受注量及び売上共に150%達成!
ものづくり補助金採択。補助金額10,000千円。設備機械導入により作業効率改善。作業人員の追加をすることなく生産効率170%達成。働き方改革に準じた作業環境も確保され従業員の満足度も向上。リンゴ農家の機会ロスが改善され受注量が増加し、新規取引先農家が約2倍になった。
今後、リンゴに限らず果汁ジュース・ゼリーの受注増加を図り、岩手県外への受注拡大により売上及び業務拡大を図っていきたい。
◎相談者の声
よろず支援拠点に相談したことで、当初検討していたイメージとは全く違う展開になりましたが、弊社の課題抽出から提案まで納得のいく説明をいただきました。その結果、思い描いていた成果が得られ、更には受注拡大のための契約書作成のノウハウや販売力強化のための知識提供も受けることが出来ました。想像以上の収穫があり大満足しております。
◎岩手よろず支援のポイント
相談者は工場移転することを念頭に置いて来訪したため、工場移転のリスクを数値的に理解していただいたうえで、経営ビジョンの実現に向けた進め方と費用を極限まで抑えた作業効率改善策を提案した。
補助金申請については、相談者のパソコンスキルが高かったため自ら作成することを提案。相談者とCOが納得するまでブラッシュアップを行った。
担当コーディネーター:千田 直樹CO
セイナン缶詰加工 株式会社
◎代表者名/代表取締役 井上 恭子
◎住所/盛岡市西仙北1-11-13
◎電話番号/019-636-3232